とろみについて考えた結果➀:バイオフィルム(フロック)にいきつきました
昨年末あたりに茶ゴケが発生しまして、一時は収束しそうな気配もあったんですが、その後ずっとコケととろみが続いていました。
発生して3週間ほど経っていたので、ちょっとエアレーションでもしてみようか?という事でやってみたんですが、まあやはり消えもせず。
ただ混ぜ合わせただけになったんですが、とろみと一緒に油膜のようなものがあったようで、エアレーションによって激しく撹拌された結果、糸状の白い細かいものが水面や水中をぷかぷかと浮き始めました。
何だこれは?と。
これまでも色々なものが発生したり消えたりしましたが、ちょっと見た事がないぞ、と。
調べてみたところ、バイオフィルム(フロック)っぽい事が分かりました。
これ結構大事な話だと思います。
(画像が撮れてないんですが「水槽 バイオフィルム」で検索すると出てくると思います)
今日のお話。
バイオフィルムとは?
すごく簡単に言うと、細菌、原生動物、藻類などの微生物の集合体で、岩石、植物、藻類の表面などあらゆる所に存在している。
水に接した基質に有機物やイオンが付着しコンディショニングフィルムという膜ができ、その膜に細菌が付着し始める。
細菌(ズーグレア)が生産するEPSと呼ばれる粘性の分泌物によりバイオフィルムが形成される。
バイオフィルム内の細菌が増え巨大化し続けると、巨大コロニーが壊れて高度に活性化した細菌が放出され、また新たなコロニーを形成していく。
これらが繰り返し行われているようです。
フロックとは?
有機物・無機物を分解する綿くず状の微生物の集合体の事です。
具体的には、細菌類・原生動物・藻類・真菌類・後生動物の集合体なんですが、佐藤家水槽に現れたのはまさにコレです。
バイオフィルムと同じ事なんですが、水槽内での事で考えるとこちらの方がピンポイントだと思います。
ちなみに活性汚泥とは、有機物・無機物を摂取・分解できる微生物によって構成される汚泥の事で、つまり飼育水そのものの事です。
汚泥って言われちゃうとなんだか…という感じですが、下水処理など水の浄化に使われるのでこういう風に言われています。
この集合体である為の粘性の分泌物を生産できるのは一部の細菌類だけで、藻類や真菌類(カビ・酵素)などその他の微生物はこれにくっついています。
餌である多糖類・タンパク質(有機物)が無くなるとどんどん凝集力を失っていき、バラバラになってしまうようです。
なぜバイオフィルム(フロック)が形成されるのか
それが微生物にとって物凄く都合がいいからですね。
外部からのストレスにも強くなるし、他の微生物と協力し合って単細胞生物が多細胞生物のように振る舞えて、強固なものになっていくようです。
単独の浮遊細胞に比べると、バイオフィルム化した方が圧倒的に能力が高いとされています。
生体の糞や餌など有機物を分解する微生物は、バイオフィルムが形成されない場合は分解能力を示さなかったという実験もあります。
そもそもなんですが、この自然界にいる細菌が単独の浮遊細胞としている事はほぼなく、ほとんどがバイオフィルムとして存在しているそうです。
有機物でも無機物でも、それらを分解してくれる微生物たちは単独で行動しているわけではなく、あらゆる微生物の集合体の中で活動しているという事です。
これまで枯草菌は枯草菌、硝化菌は硝化菌、藻類は藻類のように考えてきましたが、みんな一緒にいるようですよ。
というか、集合体を形成できないと生物ろ過が出来ないっぽい。
知らなかったー。
続く