アクアリウムのある生活

癒され悩まされ癒されています。ワクワク実験しながらアクアリウムを楽しんでいます。この経験がどなたかのお役に立てたらいいなぁ。

植物・肥料の三要素 カリウムの話:添加のタイミングが難しい…

カリウムに限らず何かを添加する前に、まず知っておかなくてはいけないのはその役割ではないでしょうか。

かくゆう私も大した知識もないままに「まあ、ちょっと使ってみよう」という感じでこれまで何度か添加をしています。

タイミングが悪く茶ゴケを増やした事もあります。

正直カリウムが不足しているのか、足りているのか、過剰なのか分からない事が多いですが、それを見極める要素を増やす為ににもきちんとカリウムの理解をしておきたいと思います。

 

今日のお話

 

カリウムの役割

三大栄養素と書かれてしまう事もあって3つの要素が同じ役割を担っていると思われがちなんですが、カリウムの役割は窒素とリン酸とは少し違います。

〇窒素

タンパク質・DNAの元となるアミノ酸の原料となる微量元素で、葉緑素も窒素によって作られます。

〇リン酸

核酸やエネルギー物質を構成する為の要素。

核酸⇒塩基・糖・リン酸からなる有機化合物でタンパク質(アミノ酸の集合体)をまずバラバラにし、再び組み合わせて必要な細胞を作り出しています。

 DNA(デオキシリボ核酸):細胞の核分裂を支配、指令を出す役割

 RNA(リボ核酸):出された指令通りに作り出す役割

カリウム 

植物の構成要素、微量元素ではなく植物のあらゆる化学反応の補助的な役割をしています。

・水素と二酸化炭素からデンプンを作り出す際にカリウムが無いと行われない。

・デンプンが分解され糖になり植物内を移動する際や、窒素からタンパク質を作り出す際も、カリウムが無いと反応がうまくいかない。

・糖からビタミン類、抗酸化物質類を合成する際もカリウムが無いと行われない。

 

 

カリウム不足になるとどうなるの?

デンプンは日中は光合成で作られ、夜間は貯蔵部に貯蔵されますが、カリウム不足でデンプンが作り出せなくなると、エネルギーの貯蔵が出来なくなります。

エネルギーが無いと、当然植物が太らなくなります。

デンプンが作り出せない=糖が作り出せない=細胞壁細胞壁同士をくっつける糖類が作り出せなくなり、軟弱化します。

細胞壁は栄養素の貯蔵庫にもなります。

糖の濃度を高める事によって寒さから身を守る事が出来なくなり、ストレスに弱くなります。

カリウムによって細胞内の浸透圧を高める為、不足すると茎や葉柄(茎と葉の接続部)などの圧が弱くなり折れやくなったり、落葉しやすくなったりします。

 またイオン濃度が高い方へ水は流れていくので、これを利用して根が吸水を行っています。

根の浸透圧が下がると吸水力も落ちるわけです。

 

 

カリウムは植物体内を移動しやすい元素です。

生長点・頂芽でカリウムが不足すると古い葉から養分が転流されます。

なので下葉の古い葉から欠乏症上が現れます。

逆に移動しにくい元素だと、生長点・葉の先から症状が出ます。

 

移動し易い:窒素、リン、カリウムマグネシウム

移動し難い:硫黄、カルシウム、鉄、マンガン、銅、亜鉛、ホウ素

 

先端から枯れるというのをあまり経験した事がないですが、下の方から枯れたり溶けたりしているのは、照明が当たりにくく光合成がしにくいという事だけではないかもしれません。

 

 

窒素・リン酸・カリウムのバランス

一般的な植物の含有量は、窒素0に対してカリウムが4分の1、リン酸が17分の1らしいです。

当然水草によって違うと思いますが、ぼんやりとこういうバランスだと知っておくのは悪くないなと思います。

比率の問題だけでなく、窒素・リン酸・カリウムはバランスは本当に大切で、窒素が過剰、リンが過剰だとカリウムの吸収を抑制します。

 

窒素が不足:全体的に貧弱になる、生長点の葉が小さくなる、茎や葉が黄色くなる。

窒素が過剰:緑藻が出やすい。

リン酸が不足:成長が早いランナー系の水草の成長が遅くなる。

リン酸が過剰: 黒髭コケが出やすく、亜鉛・鉄・マグネシウムの吸収を抑制。

カリウムが不足:葉が白くなり、黒い点が出来て壊死し穴があく、葉がうねる・縮れる。

カリウムが過剰:元素バランスの崩壊により頂芽の萎縮・縮れ、カウルシム・マグネシウムの吸収を抑制。

逆にカルシウム・マグネシウムが過剰だと、カリウムの吸収を抑制します。

  

窒素は葉肥、リンは花肥、カリウムは根肥と呼ばれるように、それぞれが欠乏すると、窒素は植物全体が小さくなり、リンは水中では起こりませんが花の数が減少、開花の遅延が起こり、カリウムは根が主根付近でのみ育ち、側方の育ちが悪くなるようです。

 

因みに鉄が過剰の場合、リンの吸収を抑制するようなんですが、それを考えると油膜の原因が鉄バクテリアの場合、その時期は水草の調子が悪くなる事もあり得るのかな?

リンが減少しても、バランスが崩れなければ大丈夫なんでしょうがね。

油膜によって水槽内が上手く呼吸出来ないと言われてますが、水草が不調の場合、もしかしたらリン不足が起こっているのかもしれません。

 

 

まとめ

窒素・リン酸は枯れた草や生体の糞などから生成されますが、カリウムの自然発生はほぼありません。

水草が枯れたり、トリミングにより排出されるとどんどん失われます。

 

カリウムは水に溶けだしやすいので換水によっても容易に減少します。

なので大量の換水後は添加してみてもいいかもしれません。

下葉が枯れてきた際も、添加を考えていいのかもしれません。

 

カリウムのタイミング…難しいですねぇ…。

今までの添加を考えると、オキシドールに比べてカリウムの添加の方が水質悪化の度合いは低いかなと思います。

比べる所がおかしいですが、そうかなと。

オキシドールは水槽環境の一番最初である有機物サイクルまで戻され、油膜やとろみが出ます。

カリウム有機物~無機物、アンモニア辺りの茶ゴケで済んでいます。

ちょっとマシなので、カリウムの添加をどうぞーと言うわけではないんですがね。

生体にとったら水質の変化に変わりはないですしね。

 

あとカリウム添加で気を付けてないといけないのはpHです。

佐藤家は自作のカリウム液を使用しているんですが、強アルカリです。

試験紙が見た事のない色になります。最強のアルカリです。

うちの場合、急激にpHが上がるのが怖いので、朝・晩に分けて半分ずつ添加しています。

液肥は即効性はありますが持続性はないので、分けた添加方法は悪くないかなと。

カリウムの添加によって枯れてしまった事はないので、添加量を気を付ければ極端な事にはならないのではないでしょうか。

 

f:id:sato-ke:20191222170940j:plain

炭酸カリウムと精製水を使用しています。

本当に強いアルカリなので、使用する際は取り扱いに気を付けましょう。